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月の旅人

月の旅人

ファッションショー

ファッションショー



ベランダからの風景朝、着替えるとすぐにベランダに出てみた。6時過ぎではまだ朝陽は昇っておらず、稜線に沿ってわずかに空が桃色に染まり始めていた。それを真似るように海岸線も夜明けの色を見せている。
朝食の前に少し外に出てみようかということになり、前日のホテルと同じく自らドアを開けて乗るエレベーターで1階へ降りた。1階に着きエレベーターのドアを開けた途端、右側にあるバーに人影を発見し、遠目ではあったがその体型を見て厭な予感がした。
……まさか。(;¬_¬)
「Good morning!」
向こうも私たちを見つけて手を大きく上に伸ばし手首から先だけを振りながら立ち上がり、つかつかと歩み寄ってきた。
「あっ、やっぱりドイツのおやじっ/(>_<)\」
見つかってしまったら仕方がない。こちらも「グッモ~ニ~ン」と挨拶を返す。そのままそそくさとホテルの自動ドアを通り抜けて外に出ようとしたが、向こうの歩みのほうが速かった。2重になっている自動ドアの1つ目を潜った所で掴まり、2人まとめてギュ~ッと抱き締められ、友達はキスまでされそうになってのけ反っていた。昨夜は酔払っていたからだろうかと大目に、ほんっとに大目に見ていたのに、朝も変わっていないところを見ると素がエロおやじであるらしい。それとも飲み過ぎでお酒がまだ残っていたのか!?

朝食を一緒に食べようという誘いを何とか断り、みきちゃんと2人でホテルの外に出て、決して広くはない駐車場のギリギリ端まで行ってホテルにカメラを向けてみたが、ホテルが大き過ぎてどう頑張っても全体を収めるのは無理だった。それでもせっかくだからホテルをバックに撮っておく。
ドイツのおやじにはホテルの周りを散歩するからと言って朝食の誘いを断ったものの、見る限り斜面に沿って民家が立ち並んでいるだけだった。
「やめる?」
あっさりとホテルの中へ引き返し、ドイツのおやじがいないことにホッとしつつ食堂へ向かう。エーゲ海の見える窓側の角の席を取り、昨夜と同じ場所に並べられたパンなどを取りに行った。そこでドイツのおやじと再び遭遇する。陳列台の真ん前の席に座っていたのだ。
「Hi!」
「ハァ~イ(^o^;」
取り皿にパンやスクランブルエッグやハムなどを乗せつつ陳列台を移動していたら、いつの間にかみきちゃんの横にはちゃっかりドイツのおやじが並んでいた。Σ( ̄- ̄;)
みきちゃんはずいぶんとまた気に入られたものである。
……待てよ? 気に入っているのがみきちゃんなら、私はついでにさわったんか~い!!(ノ-_-)ノ~┻━┻ バカヤロ~ッ
心の中で荒れながら(笑)一端席に戻り、改めてヨーグルトとフレークとジュース2種類を2回に分けてテーブルに運んだ。席につくとウェイターさんが「Cafe or Tea?」と両手にポットを持って現れ、「Tea, please」と言って、テーブルに置いてあったカップに波々と注いでもらった。
食べ初めて10分ほどした頃、ドイツのおやじが私たちのテーブルにやってきて余っていた1つの椅子に座った。( ̄- ̄;)来たっ…
が、5分と経たぬうちに何事もなくのしのしと去っていった。o( ̄。 ̄)ほっ

ふと見ると、もう窓の外のテラスに出ている人たちがいた。時計を見るともう7時になろうとしている。出発時間は7時45分だったが、それまでにエーゲ海側を散策しようと思っていたので急いで残りのパンやヨーグルトを食べ終え、開いている窓からテラスへ出た。テラスを端まで移動すると下にプールが見え、その淵を歩いているMさん夫妻の姿を見つけた。
「Mさ~んっ!」
2人で声を合わせて呼ぶと、Mさんが気づいてこちらを見た。2人仲良く並ぶ夫妻を私が上から撮り、その姿を下からMさんのだんなさんが撮ってくれた。
そのあと私たちもプールのある階へ降り、木の皮で編まれたパラソルが並ぶ中60~70cmほどの白いコンクリートの壁に片足をかけて“裕次郎ポーズ”とか言いながら海を望んでいる風を装って撮ってもらった。(笑)
テレビでしか見たことのないポーズだったけど、写真が出来上がってから母に見せたら「裕次郎のマネか?」とすぐにわかってくれた。さすがお母さん。(笑)

ホテル専用?さらに階下へと降りる階段を見つけ、下ってみる。途中、階段を登ってくる中国人らしき男性2人とすれ違いエレベーターを見つけて降りると、ホテルのプライベートビーチらしき海岸とL字型の人口の堤防に出た。見た目よりかなり距離のあった堤防をみきちゃんがL字の端まで行き、かろうじて見えるくらいの大きさになったみきちゃんを写した。液晶画面で確認してが、イマイチよくわからなかった。(笑)
戻る時もエレベーターを使おうとしたが、ボタンを何度押してもいっこうにエレベーターが下りてきてくれる気配がなく、乗れたところで途中で止まられても困るので、ひぃこらと息を切らしながら階段を上がった。運動不足が顕著に表れるのはこういう時である。(;ーー)ヾ
急いで部屋へ戻ってトイレを済ませ、Kさんより一足先にチェックアウトした。バスに乗ると、もう私たちとKさん夫妻以外の全員が乗車済みだった。
みんなほんとに早いなぁ……。


8時15分にはもう、革製品のお店『NATUREL』へ到着していた。
木の柱や天井、窓枠などが温かみを醸し出す店内に入ると、真ん中を一段高い1本の道が貫いていた。それを囲むように座席が設けられ、そこに座るよう促された。座ると同時に、チャイカップといわれるトルコ独特の小さなガラスコップに入れられたエルマチャイが運ばれてきた。すっかりエルマチャイにハマっていた私は、喜んで一気に飲んでしまった。まぁ、一気といってもわずかな量なんだけど。f(^^;)
ファッションショー
待つ間もなく始まったのは、なんとファッションショー。真ん中の1段高い道はその舞台の一部だったのだ。
目を剥くくらい素晴らしい脚線美の金髪美人のモデルさん2人と、どっちがどっちなんだかあまり見分けのつかない似た顔と髪形、体型の男性モデルさん2人が、このお店の製品である革のジャケットやコートを入れ替わり立ち代り着て、音楽が鳴る中かっこよく歩いてショーを繰り広げた。
誰もが革製品より脚線美に魅了されていると(笑)、男女それぞれのモデルさんが客席の私たちを見回し、その中から2人を指名して舞台裏に連れ帰ってしまった。1人は香川から友達2人で参加されていたメガネをかけたおばさん、もう1人は一人旅じゃないのに一人旅に見えるあの白髪丸刈りのおじさんだった。
いくらも待たないうちに、その2人がモデルさんに手を引かれて舞台に登場した。2人もモデルさんもパッチワークのように様々な色が継ぎ接ぎされたロングコートと帽子をかぶっていて、男女ペアでそれぞれ手を繋いで真ん中の道を歩き、最後には手を離されて照れながらもクルリと廻って立派にモデルをこなしていた。(^o^)
みんなから拍手喝采を浴びて2人の出番は終わり、再びモデルさんだけのショーが少し行われて、約15分間のファッションショーが終了。

その後、所狭しと革のジャケット類が並ぶ部屋へ案内され、高級な子羊の革とお手頃価格の普通の牛や大人の羊の革の違いの説明をお店の人の流暢な日本語で受け、実際にその違いを触って確認した。高級といわれるだけあって、子羊の革は実に軟らかくキメ細かで薄く、そして軽かった。当然、その分値段のほうにも差がある。
メール中が、皮のジャケットやコートにはあまり興味のない私は、他の人のショッピングに顔をのぞかせたり、奥の段差で仕切られた部屋を覗いてその壁一面に掛けられていたヴェネツィアの仮面のようなデザインの革でできた顔を見たりしていた。そこにおじさんが1人、アクセサリーを並べた机を前にして俯いて座っていたのだが、手元が見えないため何かの作業の途中だろうかと興味を引かれて除いてみると、ただ携帯電話でメールを打っていただけだった……。( ̄- ̄;)おい…

再びジャケット類の売り場のほうへ戻ると、チェーンのついた丸眼鏡を鼻に引っ掛けたおじいさんがみきちゃんに土色の3つボタンのジャケットを合わせ、これはどうですかと目と仕草で薦めてきた。グレーがかった白髪とあごヒゲ、黒っぽいグレーのスーツとネクタイ、ジャケットの下に淡いグレーのベストを着た、ちょっと品のあるおじいさんだった。
いかにも目利きといった風情に見える。
そんな人に薦められては着てみないわけにもいかない。おじいさんはみきちゃんが袖を通すのを手伝ってボタンも留めてあげて、襟や袖の具合を確かめる。再び、どうですか、と目と動作で示して鏡の前にみきちゃんを立たせ、少し離れて眺めやった。ばっちり似合ってますよ、とでも言いたげな満足顔だったが、みきちゃんはそもそも色が気に入らなかったようで却下。

おじいさんが他のジャケットを探している間に、私はデジカメをOさんに向けた。細身の深い茶色のジャケットを着て、Eさんに「似合うよこれ!」と絶賛されていた。確かに最初から着ていたかのように様になっている。
「でも肩とかキツイねん」
それが購入の決断を鈍らせているようだった。ボタンを閉めると体の線に沿う感じになって、セーターなどはとても着られないだろうということも迷う理由らしかった。ちょうどその時、おじいさんが新たなジャケットを持ってきて、今度は私に、これどうですか、てな風に薦めてきた。そのジャケットの色は、目も覚めるような水色。私を始め、その周囲にいた人も一様に「この色はさすがになぁ」と笑ったが、みきちゃんが、
「着て写真だけでも撮っとけば?」
と提案し、私はあっさりそれに乗った。(笑)
着てみると「妙に似合うで」と言われながらもあまりの色にやっぱり笑われつつ、おじいさんと並んで写真を撮ってもらった。おじいさんはちゃっかり眼鏡まで外して、写る気満々だった。(笑)

「いくら似合うとしても、この色は絶対に着ぃひんわ」
ということで、おじいさんの手を煩わせることもなくそそくさと自分でボタンを外して脱ぐと、そのジャケットを受け取るや否やおじいさんは次のジャケットを私に薦めた。今度はチョコレートのような色である。それは形からして気に入らなかったが、一応着せてもらった。すると今度は本気で「似合う!」と絶賛がかっ飛んだ。それを逃さず、先ほど説明をしてくれた日本語ペラペラの男性店員さんが寄ってきて、
「7万円のところ5万5千円にします」
と耳打ちするように言った。それでも初めから買うつもりはないし、値下げしてもらったところでいらない。その間に、みきちゃんは新たにこれぞ青というような色のハーフコートをおじいさんに着せてもらい、かなり気に入ったようだったけど値は決して安くないものなので、Eさんに2度も3度も似合ってるかと訊き、「ほんとに似合ってますよ。私、嘘はつきません」とEさんがちょっぴり怒るくらい確かめて(笑)、購入決定!
そしてみきちゃんが会計をしている間も私はそのチョコレート色のジャケットを着ては脱ぎ着ては脱ぎしていて、購入を決めたらしい大橋さんとツーショットで写真を撮ってもらったり、私が着ていたのを気に入った友達4人組の1人のおばさんにジャケットを渡して着てもらい、
「私よりよっぽど似合ってますよっ」
と感想を言って、後ろの長さが気になると言うおばさんの後姿をデジカメで撮って液晶画面を見せ、「ちょうどでしょ?」と確認したりして、お店の回し者と化していた。(笑)

店内その間も何度も私に「5万円にします。それ以上は無理」とか言ってきていた店員さんだったが、終いにはおばさんと私が一緒に購入すれば「2人で10万円にします」と、1人5万円と何ら変化のない値段を提示して「じゃあ4万5千円」とつい言ってしまった私に、ちょっと思案げに間を置いて「5万以下は無理」と返した。が、しばらくして再度やってきた彼は「4万5千円でいいです。それ以上はもう無理」と諦めたように耳の傍で言った。
まだ迷っていたおばさんに「4万5千円にしてくれるそうですよっ」と伝えると、店員さんはあわてて2人が買ってくれたらの値段であって1人では5万円だと訂正した。

けっこう長居をしている気がしてOさんに出発時間を訊ねると、Eさんがもう15分後にバスに乗ってくださいと言った。
ずいぶんここで時間を取るんやなぁ。
そんなことを思いながらKさん夫妻や暇そうに談話しているおじさんたちと話したりして時間を潰し、そのうち大半の人がお店から出て行き、しばらくして私たちも仕事をしているのかと思いきや携帯メールをしていたおじさん(まだやってた(笑))の前を通ってその部屋のドアからバスに向かった。バスに乗って待つよりはと外で待っていたら、10~15分ほどEさんの言っていた時間から遅れて4人のおばさんたちが戻ってきた。散々悩んでいたチョコレート色のジャケットをついに4万円まで値切って購入したと私に報告してくれた。4万5千円以下には負けてくれそうになかったのに、粘れば安くなるものらしい。
みきちゃんは9万円のハーフコートを2万円ほどしか安くしてもらわなかったため、もっと交渉すればよかったと悔しがっていたっけ。( T-T)ヾ( ̄▽ ̄;) よしよし



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